コミュニケーション研究所

12

8月

2010

8月12日の数字:運用ガイドラインなし61%

4P
プロモーション:ツイッター活用

有名人もすなるツイッターを、企業もしてみむとてす。というわけで、企業が自社アカウントをとって、ツイッターを活用するケースが増えてきているようだ。

たとえばローソンやモスバーガー、ユニクロなどがこぞって活用している。メディアでは毎日新聞がいち早くツイッターアカウントを取ってつぶやき始め、企業アカウントでのフォロワー数40万人超とかなりの数を集めている。

変わったところでは、佐賀県武雄市では市役所の職員全員に、ツイッターアカウントを取らせている。職員が積極的につぶやいたり、市民のつぶやきに反応することで、コミュニケーション活性化を狙った試みだ。行政がこうした取り組みを展開するのは、画期的な先例といえるだろう。

日本でのユーザー数が1000万人を超えたといわれるツイッターは、普及の閾値を超えたように思える。そこで企業もこぞってツイッター活用に乗り出しているようだが、その実態はどうか。

今年に入ってから企業アカウントの運用を始めたところが多く、運用ガイドラインが制定されていないとの回答も61%となっている(日経産業新聞2010年8月12日付1面)」。

ガイドラインがないのは、いささか問題があるかもしれない。ツイッターでつぶやくときと、例えば自社サイトやブログに何かを書くときの違いを考えてみよう。

サイトに記事をアップするとか、企業ブログにエントリーを書き込む場合は、それなりにきちんと校正するはずだ。もしかしたら、上司のチェックを受けることもあるだろう。

が、これがツイッターとなると、また少しばかり状況が違ってくるのではないか。せいぜい140字までのつぶやきだから、まあ、いいか、とチェックが緩くなる可能性がある。いくら文字数に限りがあり、フォロワーの数が少なくとも、ツイッターでのつぶやきは完全にオープンな世界に公開される。

仮に企業名でGoogleアップデートで検索をかけたりすれば、ツイッターのつぶやきも一発でヒットする可能性がある。だからといって構えてしまってはツイッターの良さが失われてしまうけれど、逆にガイドラインも何もないというのでは、ツイッター運用を任された担当者も困惑するだろう。

何を書いても大丈夫、責任はちゃんと取るから、とトップが決断するのがベスト。できれば、孫さんのように自らが、ツイッターで吼えたりしてくれるとなお良し。それが難しい場合は、最低限の社内ルールぐらいは決めておいた方が良いのかもしれない。

ちなみに本文中で取り上げた武雄市は、とんでもない構想をぶち上げている。日本ツイッター学会の初回シンポジウムを8月19日、武雄市で開催するようだ。一体、どんな学会になるのか。参加メンバーには、ツイッター界隈での著名人が来るというから、これは見逃せないイベントになりそうだ。

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10

8月

2010

8月10日の数字:前年4月比930倍

PEST
エコポイント&改正省エネ法

LED照明がバカ売れしている。「2010年6月の店頭販売数量は前年4月の930倍に膨らんだ(日経産業新聞2010年7月6日付22面)」。930倍である。

もっとも、昨年の時点ではまだLED照明はほとんど市場に出回っていなかったはず。確かシャープが今年、画期的なプライシングをとった商品を先行してから、急激に火が点いた。

その結果「業界では10年度の国内出荷が09年度の5倍にあたる2000万個に届くとの見方もある(前掲紙)」そうだ。では、なぜ今年はLEDの当たり年になったのか。

大きく4つの要因が考えられる。

まず第一には、シャープの動きがあると思う。それまで1万円が相場だったLEDマーケットに、4000円のプライシングで乗り込んだシャープが引き起こした衝撃は、とてつもなく大きかったはずだ。これでマーケット自体が一気に広がった。

続いてフォローとなったのが、エコポイントだろう。これを使うことで、実質的には3000円程度まで下がっていた実売価格の、さらに半分ぐらいで買えるようになった。少し前なら1万円だった製品が、その6分の1ぐらいのコストで手に入るのだ。しかもエコである。

そしてエコは、企業にとっての導入要因となった。今年4月から実施された改正省エネ法である。これにより多くの企業には、省エネ計画の提出が義務づけられるようになった。省エネにはLED照明が格好のアイテムとなるのだ。

さらにLED照明自体の特長がある。これはLEDさえ仕入れることができれば、極端な話、誰でも作ることができるのだ。よって、従来は装置産業だった照明業界に、新規参入が相次ぐことになる。住宅メーカーやゼネコン、あるいは家具メーカーまで巻き込んだ大乱戦が起こっている。

当然、市場は一気に活性化される。しかも照明器具の膨大な入替需要を考えれば、マーケットはめちゃくちゃでかい。マーケットライフサイクルでいえば、成長期前期ぐらいの段階だろう。今ならどこが参入しても、アイデアと商品次第で、勝ち残れる可能性はいくらでもある。

こうした背景があってのLEDマーケットの大盛況である。では、今後はどうなるのだろうか。数の論理で勝ち残るのか、あるいはいち早くからニッチを狙っていくのか。

勝ち残りのカギの一つには、調光があると思うのだが、いかがだろうか。

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03

8月

2010

8月3日の数字:社長求む、年俸3500万円以上

マネジメント
リーダーシップとマネジメント

東証一部上場企業、売上にして510億円の企業が社長を公募している。しかも新聞広告で「社長候補求む!」である。

日経に掲載された広告に曰く「当社の将来を託す社長候補として、優秀な人材を広く募集します」。その年俸が3500万円以上である(ちなみに同じ広告が読売にも載ったらしい。どうして日経と読売で、朝日と毎日と東京と産経はダメだったのかしらん)。

ともかく株式会社ユーシンは、2006年に一度、外部から社長を招聘している。投資会社から出資を受け入れ、社長も派遣してもらったのだ。このときは古くからいる幹部社員たちが結束して、新社長を追い出しにかかったようだ。その結果、いったん会長に退いていた元社長が復活する。

そういう社風なのか。

広告には期待する社長像も記されている。大卒以上、語学(英語)堪能、行動力、思考力に優れ、グローバル経営を任せられる若手(30代、40代歓迎)のバイタリティに満ちあふれた方。そして社内応募も歓迎するらしい。

実に興味深い。

そもそもこうして公募する前に、ヘッドハンティングをかけていたという。ところがお眼鏡に適う人材が出てこなかった。それ故の公募だと。条件だけを見れば、MBAホルダーでベンチャーキャピタルや金融系でばりばりやっていた人たちなら、誰でも当てはまりそうだ。

しかし、ユーシンは本当に、応募してきた外部の人材を社長に迎え入れるのだろうか。普通に考えれば「次はオレだ」と思っていた人が社内に何人もいるだろう。事実、同社には取締役が社長の他に6人、さらに執行役員も10人あまりいる。この人たちは、どうなるのだ?

残念ながら、現在の幹部には語学に堪能な人がいないから、公募するのだと、社長はどこかのインタビューで応えていた。だとすれば、語学ができないがために社長候補から外された現在の幹部たちは、応募者の中から新社長が選ばれたとして、すんなりと「はい、そうですか」と言うことを聞くのだろうか。

もとより、そうした事情があることをわかった上で、応募するのだろうから、応募者はそれなりの覚悟はしているのだろうけれど。それにしても、おもしろい。社長を公募するのは、日本では稀なことだけれど、欧米ではごく普通にあること。

その意味では、ユーシンの事例もやはり、新しいパラダイムの始まりを象徴する出来事、と思うのは深読みのしすぎだろうか。

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02

8月

2010

8月2日の数字:120万円のマーチ

ビジネスモデル
生産地の最適化

マーチといえば、日産を代表するクルマの一つである。初代マーチが発売されたときのことは、今でも記憶に残っている。Wikipediaを調べてみると、日本デビューは1982年だったらしい。デザインはジウジアーロ、それはなかなかにかっこいいクルマだった。

その後、10年を経てフルモデルチェンジされて登場した二代目マーチがまた、実にスタイリッシュ。さらに10年後、ゴーンさんの荒療治で立ち直った日産は、もう一度マーチにフルモデルチェンジを施した。個人的にはゴーンさんの日産が出すクルマのデザインは、いまいち好きになれないのだけれど、それはさておき。

マーチが日産を代表するクルマの一つであることは間違いない。トヨタでいえばカローラみたいなものだろう(正確に言うなら、カローラの対抗馬はサニーだったはずだけれど)。

そのマーチの日本生産を、日産はやめる。といってマーチを作らなくなるわけではない。依然としてマーチは、日産の顔の一つなのだ。顔ではあるが、だからといって日本で作らなければならないわけでもない。どこで作れば、もっとも利益率が高くなるのか。

経済合理性を追求した結果、マーチはタイで作られることになった。そして、タイで作ったマーチを日本に輸入する。それでも「労務費、調達コスト、物流費、関税、為替……。あらゆる要素をタイと比べても、安さが武器の小型車を日本で作るメリットが見えにくい(日経産業新聞2010年8月2日付1面)」

もし同じことをトヨタがカローラでやれば、どんな騒ぎになるか。トヨタではなく、ゴーンさんが社長をやっている日産だから「まあ、それぐらいのことはやるだろうな」的受け止め方をされているのだ。

しかし、トヨタだって本当は、例えばカローラを中国で作りたいのではないか。その方が、おそらくは利益率は高くなるはずだから。いま製造現場では明らかにパラダイムシフトが起こっている。このパラダイムシフトが3年先にはどのような影響を自社に及ぼすのか。シミュレーションは、今すぐにでも始めた方がよい。

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09

7月

2010

7月9日の数字:30分ノンストップ

営業スタイル
売り込みは話し込み、聞かされる方は聞かされっぱなし

いま大阪のホテルで仕事をしている。目の前で、実に興味深いセールストークが繰り広げられた。

ここがどんなホテルなのかは、別のブログを見ていただきたいのだが、電源を借りることができて、広々とした机もあって、200円でコーヒー・紅茶が飲み放題というスポットだ。

そのホテルのおそらくは飲食関係の責任者に対して、ネット系の企業が営業をかけるシーンを目撃した。聞き耳を立てずとも話がすべて聞こえてくる距離である。話の内容から推測するに、売り込み側はネットで飲食店を紹介するサイトのようだ。

セールスは二人一組、とはいえ話しているのは、二人のうちの一人。おそらくは係長もしくは課長クラスの人だろう。これがすごい。何がすごいかというと、商談が始まってからざっと30分間、ほとんど一人で話し続けているのだ。

企画書を出し、それを相手に見せながら流れるように話を進めている。淀みがない。企画書の内容は完璧に頭に入っているのだろう、自らは企画書に視線を落とすこともない。完璧に練り上げられたセールストーク、見事なまでの話しぶりだ。

手振りも豊かである。話の中身応じて、手の動かし方を変える。相手に対する視線の持って行き方も計算され尽くしているのだろう。立て板に水という表現がぴったりくる。

対応しているホテル側の担当者は、ひたすらうなずくばかり。すごいなあと思いながらも、あれで買う気になるのだろうか、と思った。確かに、そのサイトのメリットは、滔々と語られはしたのだが、そのメリットとこのホテルの接点がわからなかった。

もしかしたら、ホテルの担当者と件の営業マンの間では、すでに問題意識を共有できていたのかもしれない。にしては、ホテル担当者の顔の動かし方に「我が意を得たり」風うなずきがなかったように思う。

30分一本勝負の話が終わってのひと言「すみません。べらべら、私ばかりしゃべってしまいまして」。これを受けて、ホテル担当者が席を立つときに見せた表情は「やっと終わったか」と語っているように思えた。

あの営業スタイルで売れることもあるのだろうけれど、ホテル担当者にもっと話させてあげた方が、商談の成果は良い方に出たのではないか。とインタビュー式営業術を標榜する者としては思った。

じっと話を聞かされるより、自分の話を聞いてもらった方が、人は絶対にうれしいはずだから。聞いてもらっているうちに、自分が抱えている問題に気づき、それを相手が解決してくれるとわかったときに、納得して買う。そんな流れの方が、絶対によいと思った。

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05

7月

2010

7月5日の数字:2015年

PEST分析
2015年のEconomical・Social

危機は2015年にやってくる。そんな話がある。やってくるのは、どんな危機か。日本国債である。

では、なぜ、2015年なのか。この年には「団塊の世代全員が65歳になり、年金や医療の本格的な受給者になる。貯蓄を取り崩す人が増え、低金利での国債消化も難しくなる(日本経済新聞2010年7月5日付朝刊5面)」からだ。

日本がとんでもなく巨額の国債を抱えていることは、今では中学生でも知っているのではないか。国債というとピンと来なくても、国の借金といえば誰でもわかるだろう。その国の借金は、一体いくらあるのか。

財務省データによれば国と地方自治体あわせて862兆円らしい。これがIMFの基準で計算すれば973兆円となるようだ。正直なところ、気の遠くなるような数字で現実感はまったくない。

まったくないが、今年はどれだけ国債を発行したかといえば44兆円である。景気が悪いために税収が落ち込んでいるから、借金が増えても仕方がないではないか。という考え方がある。

また、日本国債を買っているのは、日本の金融機関である。金融機関が国債を買う原資としているのは、日本国民の預金である。だから、まだ国債を買い支える余地はあるし、国民が、引いては金融機関が国債投げ売りといった状況にでもならない限り、日本国債が暴落する恐れはない。

というのが、これまでもっともらしくいわれてきた理屈である。が、そこに2015年問題が降りかかってくる。つまり、これまで預金について何も言わずに銀行に任せっきりにしていた人たちが、老後の生活のために預金を引き出し始めるとどうなるか、が問われているのだ。

銀行は預金引き出しに備えて、国債を売る必要が出てくるのではないか、と心配されているのだ。ひとたび国債が売られ始めると、雪崩が起こるように国債の投げ売りが起こるのではないかと危惧されているのだ。

国債投げ売りが始まると、金利暴騰を引き起こすのではないかと恐れられているのだ。金利暴騰が起こると、恐ろしいほど急激な円安に陥るのではないかと憂慮されているのだ。

だから、ユニクロも、楽天も社内公用語を英語に切り替え、いざというときには日本脱出を目論んでいるのではないかと懸念されるのだ。ということが杞憂で終わることを祈りたい。あと5年しかない。

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02

7月

2010

7月2日の数字:9年連続前年割れ

STP
ポジショニング

2008年の中古車登録台数(軽自動車を除く)は08年比6%減の404万5761台。9年連続の前年割れとなり、ピークだった1997年の7割に落ち込んだ(日経MJ新聞2010年5月24日付3面)」

新車も売れていないが、それに輪をかけるような惨状となっているのが中古車市場だ。当然、中古車を扱っている企業の経営も苦しくなる。売れないだけでなく、そもそも中古車市場に出回るクルマの数自体が減ってくる。

新車を買う人が減っているのだから、当然と言えば当然の話だ。しかも一度新車を買えば、長く乗り続ける人が増えている。ということは、そうしたオーナーが仮に車を買い換えたとしても、下取りに出されるクルマに中古車としての価値はほとんどない。

とはいえ自動車メーカー・ディーラーの間では、ある程度の販売数を維持する必要があるから、登録だけ済ませて廃車にし、いわゆる新古車として売り出すビジネスだけは、依然として好調をキープしているようだ。

ともかく中古車市場が右肩下りで急降下する中で、業界最大手のガリバーインターナショナルは、どう生き残りを図ろうとしているのか。

その戦略は、ポジショニングの妙に裏付けられている。「中古車メーカー」である。中古車メーカーとは字義通りに理解するなら、中古車を製造する企業である。製造されるものは、基本的に新品であることを思えば、中古車メーカーという言葉は、そもそも成立しない。

そこが狙い目なのだろう。普通に考えれば成立し得ない業態を、あえてガリバーはとるのだ。すると、どうなるか。中古車メーカーの定義を同社が設定し、その設定通りのビジネスモデルを展開できれば、同社は完全にオンリーワンのポジションを確保できる。

では「中古車メーカー」とは何か。中古車でありながら、メーカーの新車と同じように、安心して乗れるクルマを提供する業態のことである。中でも象徴的なサービスが「あんしん10年保証」だ。

つまり中古車でありながら、新車と同じように買った時点から10年間の保証を付ける。中古車を10年乗り続ける人は、滅多にいないだろう。とはいえ、たとえ中古車といえども、10年もの長期保証が付いているなら、買い手にとっては大きな安心感となるはずだ。

要するに同社は、中古品に長期の保証を付けることで、中古車ディーラーとしては、完全にオンリーワンのポジショニングをとることに成功した。これは応用が利く事例なのではないだろうか。

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30

6月

2010

7月1日の数字:平均年齢51.7歳

マーケティング分析
アンゾフ・マトリックスを使う

平均年齢51.7歳。「日本の消費市場を人間に例えれば何歳と思うか経営者に聞いたところ(日経MJ新聞2010年6月4日付1面)」の答である。5年前に同じ調査をしたときの答が、平均43.4歳。一挙に8歳も老け込んでしまったわけだ。

老けたというと語弊があるかもしれない。何しろ、人口が縮小していく日本の市場の中で、今や残された希望のボリュームゾーンが団塊の世代である。加えて団塊ジュニアの方たちが、何とか次点で残っている。

では、このシルバーの方々にどうやってアプローチするのか。ここで活用してみたいのが、アンゾフの成長マトリックスだ。これは市場と製品の二軸をとって、既存・新規の二つの切り口で考えるフレームワークである。

既存製品で新規市場を攻めるのは、新規市場開拓戦略である。
新規製品で既存市場を攻めるのは、新製品開発戦略である。
新規製品で新規市場を攻めるのは、多角化戦略である。
既存製品で既存市場を攻めるのは、市場浸透戦略である。

すでにシルバー層を顧客として定めている企業ならば、取るべきは新製品開発戦略となる。これまでシルバー層を顧客としていなかった企業なら、新規市場開拓と多角化の二つの戦略が考えられる。では、具体的にはどんなことが考えられるのか。

例えばシルバー層のためのカルチャー教室を運営していた企業が、既存顧客であるシルバー層に対して、新しい商品を提供する。カルチャー教室を通じて、高い顧客満足度を得れているなら、相手に対する高い信頼度が購入要因となるような高額商品の販売が考えられる。こだわりの旅行などが、典型的ではないだろうか。

新規市場開拓は、20代や30代の人たちを対象にデザインされたファッションを、シルバー層に売るという案がある。団塊世代のマインド年齢は、実年齢より10歳以上若いという。売り方、店の雰囲気作りによっては、十分にあり得る選択肢だと思う。

多角化戦略でシルバー世代を攻める例としては、レストランが通常の夜の時間帯より早い時間に、シルバー向けのメニューを割安価格で提供する、という案があるのではないか。トワイライトメニューとでも名付けて、消化に良くて、噛むのにも負担にならない食材を使う。時間限定サービスである。

アンゾフの成長マトリックス自体は、マーケティングの世界ではすでに確立されたフレームワークだ。こうしたフレームワークは、何か新しいことを考えるために、知っておいて損することは決してないと思う。

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28

6月

2010

6月28日の数字:経営理念を実践できている24%

ビジネスモデル分析
自社が提供している価値は?

経営理念はある。しかし、理念を実践できているかというと、どうも怪しい。中小は、そんな企業が多いようだ。そして、理念の実践が成績に如実に反映されている。

黒字基調の企業と赤字基調の企業の間では経営理念の実践度合いで差のあることがわかった(日経産業新聞2010年6月28日付1面)」。当然と言えば、それまでの話だが、ここで考えるべきは、肝心要の経営理念ではないか。

そもそも経営理念とは何か。その企業の存在理由と言い換えると、わかりやすいだろう。カタカナでいえばミッションである。すなわち、世の中にどんな価値を、どのように提供するのか。価値と対価の交換がビジネスなのだから、自社のビジネスの根幹が経営理念には表現されているはずだ。

それを実践できていないということは、対価を得るための価値を提供できていないことになる。赤字になって然るべきだろう。

どの企業も、創業時には、何らかの、自社だけの提供価値が必ずあったはずである。逆にいえば、その価値が通用するマーケットの大小はあるにせよ、そうした価値を認めてくれる顧客がいたからこそ、対価を得ることができ、ゆえに創業できたのだ。

ところが経営を続けているうちに、いつしか「価値」を自社視点(自社都合ともいう)でしか見ることのできなくなる企業が出てくる。これも赤字要因である。

価値は、あくまでも顧客にとっての価値である。顧客が価値を認めてくれない限り、対価を得られるはずがない。顧客が認めてくれる価値を提供することこそが、企業の存続要因となる。

規模の大小は、まったく関係ない。自社が定めたマーケットで(可能な限り特定市場に絞り込めている方がよい)、自社が狙ったターゲットに(できる限り具体的に描かれている方が良い)、自社独自のポジショニングから(どんな切り口を持ってくれば、他社と差別化した位置付けができるかを考えるべきである)、他社にできない価値を提供する。

経営理念の見直しと、実践は、定期的にレビューすべきだと思う。

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13

6月

2010

6月14日の数字:1品番2社調達制

3C分析
Competitor:中国式がデファクトになる時代

『半値八掛けの世界』。ある自動車パーツメーカー・トップの言葉だ。インタビューに答える中で飛び出してきたキーワードが、頭を離れない。自動車メーカーが中国生産にシフトしたら、日本のパーツメーカーは半値八掛けの世界で戦わなければならないのだと。

生産地は何も中国に限ったわけではない。日産は、マーチの国内生産をやめるという。人気車マーチの生産そのものをやめてしまうのではない。国内生産をやめ、インドで生産するのだ。

中国は昨年、自動車販売台数が世界一となった。チャイナクロスが起こり、米国を抜いた。販売台数の成長曲線を見る限りは、2000万台到達まで、それほど時間はかからないだろう。巨大な自動車マーケットが、そこにある。

成長期真っ盛りのマーケットとあれば、マーケットライフサイクルの原則として価格競争が熾烈化する。いかにシェアを獲得するかが、競争のポイントとなるからだ。すなわちパーツ調達コストも、徹底的に叩かれることになる。半値八掛けの世界である。

しかも中国の完成車メーカーは、さらにえげつないことをしているようだ。それが「1品番2社調達制(日経産業新聞2010年5月11日付12面)」である。これがどういうカラクリになっているか。

ある1社の部品メーカーと先ず、共同の部品開発を進める。図面が仕上がり、品質も上がっていよいよ量産段階に入る直前までくると、完成者メーカーはすかさず、共同開発先とは全く別の部品メーカーに「うちの部品を作らないか」と、はなしをもちかけるのだ(前掲紙)」

すごいですね。しかも共同開発した部品メーカーからはあらかじめ決めた価格で仕入れるが、仕入れる量は絞る。代わりに声をかけたメーカーには、半分の仕入れ価格を提示する。

そんなやり方で仕入れたパーツは、安かろう・悪かろうの典型ではない、のである。もはや中国の技術力は平均レベルで底上げされている。売上がすべてを癒すというセリフがあったが、量がすべてを癒すのが、中国の現状だろう。

そこで戦わざるを得ない日本メーカーもいる。どう戦うのかが、厳しく問われる事業環境になっている。

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