7月31日の数字:2年で半数が削減

企業が出張費用をカットしている。上場企業を中心にした全国242社のうち53%が「最近2年間に国内出張の費用を削減した」と回答((日経MJ 新聞2009年7月27日付5面)。

経費削減は3K、すなわち広告・交際・交通費からというが、まさにこれを裏付けるようなデータだ。これが以前なら「交通費をけちってコミュニケーションが うまくいかなくなったら、その方が問題だ」とかあるいは「景気の悪いときこそ、競合とは逆張り。どんどん広告を打て」なんてことをいう輩もいた。

が、ITが見事に状況を変えた。今や広告費は大幅にカットしながら、以前よりも効率をアップすることが可能となっている。特にBtoBの分野ではもはや、 新聞での企業広告などほとんど意味がないのではないか。ネットをうまく活用すれば、ほとんどピンポイントで狙った相手に情報を届けることができるのだか ら。

交通費しかり。先日(7月28日)ご紹介したウェブ会議、テレビ会議システムを使えば、少なくとも社内会議のための国内出張は減らせるだろう。ではクライ アントとのミーティングはどうか。これもネットをうまく使えれば(相手の情報リテラシーも絡んでくるので一概には言えないが)状況は大きく変わる。

しかもネットを使う場合は、基本的にテキストベースで記録が残るので言った言わない問題が起こるリスクを減らすこともできる。もちろん、どうしても顔をつきあわせて話をすることが必要な場合もあるだろう。そのときは、遠慮せずにやればいいのだ。

いくらバーチャル技術が進化したとはいえ、所詮テレビのフレームの中で伝わる情報量と、リアルに面と向かい合ったときに伝わる情報量には膨大な違いがある ことははっきりしている。逆に言えば、それぐらい重要なタイミング以外は、ITを使いこなしてコミュニケートすべきだろう。

で、最後に残った交際費は聖域? あの超収益企業キーエンスには、接待交際という概念がそもそもない。従って接待交際費はゼロ、というかそういう費目がない。一気にそこまで思い切ることは難しいにしても、それぐらいシビアに経費の使い方は見直していいのかもしれない。

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29

7月

2009

7月30日の数字:年産40万台

日産自動車が本気だ。ハイブリッドではなく電気自動車で世界トップを狙う戦略に出る。その目標値が年産40万台。日米欧三極体制で車両と電池の大規模な量産体制を整備する。狙いは自社製電池のデファクト化である。

「電気自動車をニッチ商品にするつもりはない(日経産業新聞2009年7月28日付26面)」。ゴーンさんはこう言い切ったらしい。ニッチ商品でなければ何なのか、主力商品ということだろう。

同社の2008年度の自動車販売総数が約370万台だから、その1割以上を電気自動車にシフトする計算になる。あくまでも国内に限った参考数字でしかないが、乗用車販売ランキング(自販連)によれば、車種別売り上げでナンバーワンのホンダ・フィットが約17万台だ。

40万台という日産の目標はもちろん、グローバルベースの話ではあるが相当な力の入れ方であることはわかる。そのための投資が1000億円にも上る。要するに本気というか、社運を賭けての勝負に出ていると言っていいのだろう。

では、なぜそこまでの勝負に出るのか。答えは一つしかない。これから先の自動車は電気自動車になると読んでいるからだ。いや、むしろ今後の自動車の主流を何が何でも電気自動車に持って行くのだという、強い意志が背景にあると考えた方がよいのかもしれない。

そのための大規模投資なのだろう。狙いは上述の記事にもあったが電池のデファクト化だ。電気自動車用の電池に関しては今のところ、トヨタ・ホンダがニッケル水素電池なのに対して、日産はリチウムイオン電池で勝負に出る。

どちらがデファクトになるかは、例えばブラウザー戦争でのネットスケープ対インターネットエクスプローラーの戦いみたいなものだ。要するに勝ったほうが圧倒的に優位なポジションを占めることになる。これが日産の狙いだろう。

リチウムイオン電池はまだまだ完成型とはいえず改良の余地はある。そもそも原料となるリチウムには埋蔵量の問題もある。海水リチウムの抽出など資源周りから製品に至るまでビジネスチャンスがいくつも転がっているんじゃないだろうか。

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28

7月

2009

7月29日の数字:1万ドルが1億人

中国都市部では1人あたりのGNPがついに1万ドルを超えた(日本経済新聞2009年7月28日付朝刊1面)。これは1980年初期の日本と同じ状況だという。中国で都市部の人口を合計すれば、ざっと1億人。まさに30年前の日本と同じところまできているわけだ。

とはいえ、日本とは明らかな違いもある。たとえば上海。外資からの投資がばんばん入ってくるこの街の趣は、未来都市以外の何者でもない。オフィス街には欧 米人が闊歩し、彼らと対等に英語でやり合っているのが現地中国人エリートたちである。そんな風景は30年前の日本ではもちろん、今の東京でもみられない。

あるいは北京のメインストリート。こちらはブランドショップが軒を連ねている。そして何よりすごいのは、ここに集う人たちのドラスティックな変化だ。一昔前の北京といえば、田舎からのお上り旅行者が集うところだった。

もちろん今でも、そうした旅行者はいる。しかし、ファッション街を颯爽と歩いているのは、首都北京だからこその富裕層である。彼ら北方系の中国人はスタイルがよい。銀座でもみられないようなスタイリッシュな人たちが、ここに集っている。

約1億人といわれる都市部住民に限れば、エアコンや携帯電話の世帯普及率は100%を超えている。これも明らかに日本の80年代とは違う。

その中国の経済構造がいよいよ、本格的な内需主導型に向かおうとしている。そこにどんなマーケットが生まれるのか。先を読んだ欧米諸国はすでに、大統領や首相の訪中にくっついて経済界のトップたちが中国詣でを繰り返している。

翻って日本はどうか。もちろんカントリーリスクはある。法治より人治の国である。上に法律あれば下に対処ありの世界でもある。しかし、不正確とはいえ年率 8%もの経済成長を続けている国でもある。中国の消費市場が爆発したときに、何が起こるのか。自社のチャンスとリスクはどうなるのか。この程度のことをシ ミュレーションしておくべきだろう。

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27

7月

2009

7月28日の数字:10年で20倍

ウェブ会議システムの市場は08年度で、前年対比55%増の59億円(日経産業新聞2009年7月6日付9面)。これが10年後には1089億円まで成長する見込みだという(前掲紙)。

ウェブ会議システムとは、テレビ会議システムと似ているようでコストの次元がまったく違う。テレビ会議となると専用の端末を使う必要があり、まずこれが高 い。しかもカメラ、端末などは据え置きにする必要があり、そのためのスペースも確保しなければならない。場所代もかかってくるわけだ。

だから、そこそこの規模の企業じゃないとそうは簡単に導入できない。ちなみにお手伝いさせてもらっている企業さんでは立派なシステムを使っておられて、これは確かにかなりリアルだ。これなら十分にテレビ会議になる。

そういえば京都の老舗大手メーカーさんの役員専用フロアには、かなりなスペースで円形にテーブルがセットされたテレビ会議室があった。ここには同時通訳用のブースもあり、これで海外の役員とも会議をするのだという。いや、ご立派である。

が、当然そんなゆとりのない企業の方が多いわけで、そうした企業のために登場したのがウェブ会議システムである。これだとイニシャル45,000円、月額 使用料は最大でも月8万弱ときわめてリーズナブルなコストに収まる。パソコンに内蔵のカメラでも使えるし、テレビを見れるケータイならそれでもOKだ。

もちろんテレビ会議システムと比べれば画質は劣る。が、これでも十分に会議は可能だろう。そして年間を通してみるなら交通費削減メリットだけでも十分な恩恵があるはず。会議に移動するメンバーの移動時間コストまで含めて計算すればコストメリットはさらに増える。

知り合いの会社では同じようなことをソニーのプレイステーションと大型液晶モニターを使ってやっていた。これだとプレステ代とモニター代だけだ。もちろんモニターの代わりにパソコンでも代用できる。

リアルに顔を突き合わせて話す方が、当然伝わる情報量は段違いに多い。が、そこは使い分けを考えればよい話で、こうしたバーチャル会議システムをうまく使いこなせるかどうかは、コスト削減に大きく影響するだろう。

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26

7月

2009

7月27日の数字:2兆円市場

LED照明のマーケットが今後、爆発的にふくらみそうだ。「6月に家庭用LED照明への参入を発表したシャープは、12年度のLED照明の世界市場は照明全体の2割強に当たる2兆3400億円に達すると予測している(日本経済新聞2009年7月19日付朝刊1面)」

望外なマーケットが新たに生まれることになる。しかも、このマーケットには可能性がある。LEDは従来の照明マーケットの中での単なる製品交代にはとどまらないのだ。なぜならLED照明は、LEDさえ手に入れば(秋葉原に行けばすぐに手に入るらしい)誰でも作れるから。

これが何を意味するのか。照明マーケットのプレイヤーが大きく変わる可能性がある。すでに岡村製作所とロームが組んでオフィス用照明機器の販売に乗り出すことが決まった。「光らせるだけなら、回路をつなげばすぐに出来ますよ(日経産業新聞2009年7月17日付22面)」というぐらい簡単なのがLED照明である。

今後、住宅メーカーやゼネコンが建物を照明ぐるみで提案してくるだろう。大和ハウスも「まず京セラと組んでホテルやコンビニエンスストア向けのLED照明システム事業を開始(日経産業新聞・前掲紙)」すると表明している。

異業種プレイヤーがどんどん参入してくる。逆にいえばLEDマーケットにはそれだけの参入余地があるということ。そして、その市場規模は3年後に2兆円にまで膨らむ。

さらにLEDの次には有機ELが控えている。すでにレッドオーシャンの様相を見せ始めているLEDよりも、むしろ今から狙うのならLEDに続く次世代照明といわれる有機ELの方が有望なのかもしれない。こちらも参入障壁は極めて低い。

いずれにしても、今後は家庭とオフィスの省エネが大きなビジネスチャンスになる。カギは照明、空調、給湯だ。

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26

7月

2009

7月26日の数字:最大で5割安

次世代の企業システムとしてシンクライアントが注目されている。シンクライアントとは「ユーザーが使うクライアント端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をサーバ側に集中させたシステムアーキテクチャ全般のことを言う(Wikipediaより)。

なぜ今、このシンクライアントが注目されているのか。理由はセキュリティ対策にある。早い話、シンクライアントでは手元の端末には一切データが残らない。だから、万が一パソコンを盗まれてもサーバへのアクセスさえ防げば、データ漏洩する恐れがない。

ところが以前から一部では注目されていたもののシンクライアントはなかなか普及しなかった。その原因はコストである。サーバシステムはもとより、クライアント端末もハードディスクなどを持たないにもかかわらずなぜか高額だったのだ。

そこに目をつけたのがベル・データ社だ。同社システムは大手システム会社が提供するシンクライアントシステムよりも最大5割安い。コストダウンするために二つの工夫をしている。

一つはサーバに搭載するミドルウエアにライセンス料が格安の2Xソフトウェア社(マルタ)製品を採用したこと。さらには端末は中国製メーカーから調達したこと。大幅なコストダウンによって狙うのは、決して大手ではなく中堅以下の幅広い企業である。

需要はおそらく堅い。とはいえコストがネックとなってシンクライアント導入をためらっていた企業にとって、ベル・データ社の新システムは魅力的に映るだろう。

ポイントは半額である。ここは一つ思考実験に取り組んでみればおもしろいと思う。すなわちいま自社で扱っている製品を半額で提供できれば、どうなるか。あるいは競合が半額で勝負してきたらどうなるか。

さらに競合が半額で勝負するとしたら、その仕組みは今とはどう変わっているのか。こうした思考実験は頭のストレッチに最適だ。

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24

7月

2009

7月25日の数字:5年で5倍に

ネット上の情報流通量が増えるらしい。アメリカ・シスコシステムズ社の予測によれば2013年には、インターネット上の情報流通量が2008年実績の5倍にふくれあがるという(日経産業新聞20096月18日付3面)。

増えるデータの大半は動画だ。「DVDに換算して1400奥枚分もの情報が、世界のネットを駆け巡る計算だ(前掲紙)」という。

今後の予測なので、外れることもあるかも知れない。とはいえ、明らかに動画シフトの流れがあることは理解しておく必要があると思う。例えば大手企業のサイトを見れば、その流れは明らかだろう。コンテンツはリッチ化する。これがインターネット上の一つの法則だ。

「いまどきホームページもない企業なんて」という物言いがあるなら、5年後にはそれが「いまどきビデオの一つも流していないんですか」に変わっていく可能性はあるはずだ。

そこで注目すべきは動画表現について考えるメリットだと思う。仮に自社製品を動画で見せようとするなら、どう表現すべきか。これが紙媒体に代表される平面 的・静的なメディアなら、基本的には写真をどう撮影するか、あるいはどんなイラストを付けるかを考えるレベルで終わってしまう。

が、動画で見せるとなれば、時間軸に沿った思考が求められる。より精密に考えなければ、動画を作ることは難しいからだ。ということは、どんな動画を作ればよいかを考えることは、自社製品について深く考え直す絶好の機会となるだろう。

動画普及の波に先乗りするためにも今から「動画表現するならどうしたらいい」を考えてはどうだろう。もちろん製品紹介だけではなく、自社紹介からリクルートにも動画は使える。

しかも動画の配信はタダなのだ。その意味を考えることも必要だと思う。つまり見る側も動画はネットで見る時代になるということだ。

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23

7月

2009

7月24日の数字:戻っても7割

そろそろ大手企業の間では、景気底入れから反転のきざしが出始めている。今回の世界的不況の引き金を引いたアメリカの金融業界でも業績は復活しつつあるという。

ところが、先行きについて極めて厳しい見通ししか立っていないセクターもある。日本の中小企業だ。「中小企業の多くが景気の底入れを実感できないでいる。今後受注が本格回復しても「ピーク時の7割の水準にしか戻らない」と悲観する企業が多く、原材料価格の上昇も重しだ(日本経済新聞2009年7月22日付朝刊15面)」。

どうしてだろうか。

あくまでも個人的な推測だけれど、今回の大不況を大手企業は仕入れ先をガラガラポンする絶好の機会と捉えたと考えればどうなるか。仕入れ先を絞り込み、発注量を増やすことを条件にコストを下げる。といえばゴーン社長が日産に乗り込んできて真っ先にやったことだ。

同じことをやろうと考えている大企業が多いと考えれば、辻褄が合いはしないか。それが総合的に見て受注は7割しか戻らないという諦念として表面化している ような気がする。ニュースとして新聞が取り上げるのはセンセーショナルな悲劇の方だ。だから、戻っても7割の裏には前年対比で倍増などという企業もあるよ うな気がする。

もう一つ考えておくべきは、一気にハイブリッド&電気自動車にシフトしている自動車業界に象徴されるように、産業構造が大きく変わりつつあること。自動車 がエンジンではなくモーターで動くようになると、そのパーツは根底から変わってくる。そしておそらく、自動車業界の流れは今後、加速することはあっても逆 流することはないだろう。

その底流にあるのは『環境対応』だ。戻っても7割では多くの企業で採算を取るのが極めて厳しいはず。ここは試練ではあるけれども、3割を埋めにいくといっ た中途半端な覚悟ではなく、事業再生もしくは新事業立ち上げぐらいの意気込みで立ち向かってはどうか。進むべき方向ははっきり『エコ』と示されているのだ から。

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22

7月

2009

7月23日の数字:手数料収入95%

09年3月期決算といえば、軒並みというか、感覚的には日本企業の9割が赤字だったのではないか。金融機関然りなのだが、そんな中で過去最高の純利益をあげた銀行がある。セブン銀行である(日本経済新聞2009年7月22日付朝刊7面)。

この銀行が変わっている。ふつう銀行は、集めた預金を運用して収益をあげる。ところがセブン銀行のビジネスモデルは、通常の銀行モデルとはまったく違う。経常収益のうち95%がATMの手数料収入なのだ。「(セブンイレブンに設置されたセブン銀行の)ATMは他行の預金者がお金を引き出すたびに、平日昼間も1回105円の手数料がかかる(前掲紙)」。

手数料を支払ってでもユーザーは、セブン銀行のATMを使う。なぜなら、ついでに引き出せて便利だから。つまりセブン銀行は銀行といいながら従来の銀行ビ ジネスモデルではなく、まったく違った収益源ATM手数料によって成り立っている。そして、成り立っているということはユーザーから支持を受けているとい うこと。つまりここには潜在ニーズがあったのだ。

その潜在ニーズとはたぶん「自分が預金している銀行のATMまでわざわざ行くのは面倒だなあ」とか「銀行は駐車場がなかったり、狭かったりするから車で行 くのはいやだなあ」といった「不」便、「不」満、「不」具合など。こうした「不」には必ずビジネスチャンスが潜んでいるわけで、その典型的な成功例の一つ が、このセブン銀行だと思う。

御社のお客様から、声にならない「不」を聴き取る努力していますか。もしよかったら、当研究所の『顧客徹底調査』サービスをご利用ください。と最後にちょっと宣伝。

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21

7月

2009

7月22日の数字:2兆ドル突破

中国の外貨準備高が2兆ドルを超えた。今や中国はドル保有で日本の2倍以上、断トツの世界一である。この外貨の多くを中国は米ドル債で運用している。これが今後、日本にどんな影響を及ぼすか。
とりあえず確実なのは、中国とアメリカが経済的緊密度を高めること。いわゆる「百年に一度」の大不況を克服するためにアメリカは、何でもありの経済対策を 取っている。そのための原資は国債に頼らざるを得ない。すなわち資金の出し手は中国、というわけだ。だからこそガイトナー財務長官はGM破綻処理の寸前に 中国にすっ飛んでいき状況説明をしたのだろう。
方や中国も、これほどまでに米国債を買ってしまったからには、その暴落だけは絶対に避けなければならない。とはいえ米国に対する立場はとても強い。最悪 「米国債、売りまっせ!」と脅しをかけることができるからだ。その中国は輸出で経済がまわっており、メインの輸出先はアメリカである。
つまり中国とアメリカはいつの間にか、持ちつ持たれつというか一蓮托生というか、少なくとも経済的にはそんな関係になっている。しかも、基本的にはほぼ対 等の立場で。ここで考えておくべきは、アメリカにとっての日本のポジショニングがどう変わるかということ。相対的に重要度が低下することは間違いないだろ う。そのとき、オバマ政権が日本に対してどんな要求を突きつけてくるのか。
アメリカへの輸出に頼っている企業は考えておく必要があるはずだ。また中国で競合企業が成長してきている企業も考えておく必要があるだろう。さらに、早け れば今年にも中国がGDPで日本を抜くといわれている。そのこと自体は結果だから大した意味はないが、なぜ、そうなったのかという原因を考えることと、そ の原因から類推すると未来はどうなるのかをシミュレーションしてみることは必要だ。

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20

7月

2009

7月21日の数字:契約数13年度3倍に

2013年度の公衆無線LANの契約数は08年度比約3倍の930万件に達する見通し(日経MJ新聞2009年7月20日付11面)。この結果、ネットブックや携帯ゲーム機などの無線LAN対抗機器のマーケットも大きく成長する。
そして無線LANといえば、本命はWiMAXだ。こちらは無線かつ高速を売り物にしている。理論値で最大75Mbpsは、いま普及している光ファイバーブロードバンドとほとんど変わらない。これだけの高速回線をモバイルで、つまりケータイと同じ感覚で使えるようになる。
WiMAXも本格的なサービスがちょうど、今月から始まった。当初はおそらくケータイや光ファイバーがそうだったように、大都市圏から通信網の整備は進むのだろう。
これがビジネスに与える影響としては、たとえばネットブック&WiMAXによるモバイルオフィスが考えられる。特に移動の多い営業マンなどがこれを活用す れば、移動効率(=生産効率)が高まるだろう。いまケータイのスマートフォンなどでこなしている業務を、ネットブックのより大きなモニター&使いやすい キーボードでできるようになるはずだ。
もちろん業務用となればセキュリティ問題で万全を期する必要がある。そのために単純なネットブックではなくシンクライアントの普及が進む可能性も考えられる。あるいはネットブックを使いながらも、データはすべてクラウドサービスに移行する動きも出るだろう。
というぐらいにWiMAXに象徴される無線LANの普及はまずワークスタイルに影響を及ぼし、引いてはワークライフバランスからライフスタイル全般へと影響するのではないだろうか。

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19

7月

2009

7月20日の数字:三代目より七代目

売り家と唐様で書く三代目。初代が苦労して創業し、何とか事業を軌道に乗せる。二代目はおそらく、子どもの頃はまだ貧しかったはずで、初代の苦労も目の当 たりにしている。だから、それなりに儲けが出ていても自省する。ところが三代目ともなると、初期の苦労を知らず裕福な家庭に生まれ育つことになるので、ど うしてもビジネス感覚が甘くなる。創業時の理念が、初代と同じぐらいのピュアさで伝わっているはずもない。だから同族企業では三代目が一つの危機になる。 そんな戒めを込めた川柳が冒頭のことば。企業30年寿命説にもつながる教えだと思う。
ところが、三代目はおろか七代目の改革によって、その後の繁栄につなげた老舗がある。寝具の西川だ(日本経済新聞2009年7月19日付朝刊)。西川七代 目は勘定帳による在庫管理の徹底やボーナス制度の導入など大改革を断行した。三代目の危機を乗り越え、六代も続いて慣れ親しんだやり方を変えるとなると、 その抵抗も並大抵ではなかったはず。人はとにかく『今のやり方』を変えることを嫌う。その典型が霞ヶ関に象徴される公務員さんたちだ。
裏を返せば、常に改革し続けることのできる企業がどれだけ有利かは言うまでもないはず。『カイゼン』のエッセンスは、この改革し続けることにある。同族企 業が三代目で凋落するのも、企業が30年で寿命を迎えがちなのも、創業時の顧客志向を忘れてしまうから。だからこそ顧客のために常にカイゼンし続けること のできる企業は、不況耐性も強いのだ。

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18

7月

2009

7月19日の数字:3兆8000億円

キ リンとサントリーが経営統合すれば、これだけの売上をもつ企業となる。ビール業界では世界ナンバーワン、食品業界で見ても世界5位の規模となる。なにしろ 日本での1位、2位企業の経営統合なのだ。独占禁止法に引っ掛かる恐れさえある中で、しかもサントリーは非上場の同族経営会社であるにもかかわらず、経営 統合に踏み切る意味は何か。
日本マーケットに対する絶望感に近い危機感の共有なのだろう。今後、人口が減り続ける市場、それが日本だ。人口が減れば、当然胃袋に収まる飲料、食品に対する需要も縮む。そのことに対する恐怖感が、今回の経営統合劇の裏側に確実にある。だから、いま経営統合に踏み切った。
エンドユーザーを相手にするビジネスはすべて、人口減の影響をもろに受ける。その意味をしっかりと考えておく必要があるだろう。これから先、日本の人口がどんどん減って行くということ。これだけは絶対に確実な未来なのだから。

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17

7月

2009

7月18日の数字:出荷量2割増

日本全体の市場が縮んでいく中で、年間ベースで2割も伸びているマーケットがある。遮熱塗料だ。遮熱塗料とは「特殊な顔料などを配合して太陽光の赤外線を反射させ、塗装面の温度上昇を抑える(日経産業新聞2009年7月17日付)」もの。
なぜ、このとてもニッチなマーケットが伸びているのか。その理由には、マーケティングを考える際のもっとも基礎的な要素・PESTが絡んでいる。すなわち Politics(政治・法律)である。2010年4月から改正省エネ法が施行される。省エネ法は過去にも何回か改正を重ねてきていて、今回は事業所全体 の省エネを強く求める内容となっている。これによって「企業は年平均1%以上のエネルギー消費量を削減する中長期計画も提出しなければならない(前掲紙)」のだ。
そこで手っ取り早く省エネするためのツールとして「遮熱塗料」が脚光を浴びているという次第。もっとも遮熱塗料はその母体となる塗料市場の中でまだわずか に0.2%に過ぎない。とはいえ、これをどう解釈するかが重要だろう。伸びシロは思いっきりあると考えれば、ビジネスチャンスはいくらでも広がる。
例えばアメリカのニューフロンティア時代、金を求めて西部開拓に大勢の人が殺到したとき一番儲けたのは誰か。作業服を売ったリーバイスではなかったか。こ の例えを当てはめるなら「遮熱塗料」そのものではなく、関連ツールマーケットも伸びる可能性がある。あるいは、そもそも遮熱塗料が何のために必要なのかを 考えれば、その代替マーケットだって見えてくるだろう。
ポイントは省エネに対する企業意識が今後、高まらざるを得ないこと。その起動力となるのが法改正であること。この二点だ。

ちなみにPestとは
Politics:政治、法律
Economy:経済=金融とか
Society:社会の大きな流れ=人口とか、格差かとか
Technology:科学技術=LEDとか電気自動車とか
がマーケティングには極めて大きな影響を与える要素だということです。

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16

7月

2009

7月17日の数字:10万台供給

トヨタ自動車とマツダがハイブリッド技術で提携する見通しとなっている。トヨタがハイブリッド車の基幹装置をマツダに供給し、マツダはそれを組み込んでハイブリッド車を製造・販売するというもの。その販売目標が10万台、2013年での数字だ。
雪崩をうったようなハイブリッドシフトである。エコカー関連では、三菱自動車が出したEV(電気自動車)もある。EVに関しては、富士重工からも今年登場する予定だ。こうした自動車のハイブリッド・EVシフトは産業界に激震をもたらすだろう。
エンジン構造が従来の内燃機関からモーターに変わっていく。それがどんな影響を与えるかを考えてみれば良い。エンジンを組み立てるのに必要なさまざまな精 密パーツのほとんどが不要になるのだ。パーツがいらなくなるということは、そうしたパーツ製作に関わる機械、工具類などもすべて必要なくなる。特定ではあ るが、業界が一つまるまる消滅する感じではないのだろうか。
一方で新たな重要が生まれる。特に注目すべきはレアアース関連だろう。次世代自動車の基幹パーツとなる高性能モーターにはネオジムやジスプロシウムなどの レアアースが欠かせない。ところがネオジムはほぼ100%近くが中国産となっていて、中国はこれを国家的な戦略資源と位置づけている。仮にネオジム代替品 の開発に成功すれば、どんなことになるか。物質にはサイズ効果があり、化学的に極めて不活性な金でさえナノレベルまでサイズを小さくすれば、ガンガン化学 反応を起こすのだ。ナノテクにはネオジム代替のヒントも潜んでいるのではないだろうか。


続報によれば、トヨタ、マツダともに正式な交渉を否定しているとの話もあるが、水面下ではこうした動きが今後も進むと思う。トヨタにとっては量産効果によるコストダウンは強烈なメリットとなるはずだから。

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15

7月

2009

7月16日の数字:「減った」4割超す

仕事帰りの一杯のお話。「直近3ヶ月で飲みに行った頻度が1年前に比べて減ったと答えた人は4割超に達した(日経産業新聞2009年7月14日付19面より)」。
ついでにいえば一次会で帰るようになった(ということは、以前はそうじゃなかったけれど、ということ)人が約4割、1軒あたりの予算が減った人も3割ほどいる。
その理由までは記事に書かれていない。元ネタ(=株式会社インテージ)にあたってみると、外飲みでは外での支払いについて徹底的な「節約志向」がみられるとある。やっぱり。
早い話がお小遣いを減らされている、ということではないのか。その元を辿れば、お給料がいく分なりともカットされているのかもしれない。あるいは、年金そ の他先行きのお金を心配される奥樣方が増えているのかもしれない。今年の夏は、全体的にボーナスの支給額も下がるという。
景気は少しずつ回復してきた、という説が基調になりつつあるけれども、実感としてはそうは思えない人がまだまだ多いのだろう。そして、今後の日本市場を考 えれば人がどんどん減っていくことだけは確定した未来なのだ。ということは仮に5%人口が減るとすれば、大ざっぱな話日本国内マーケットも5%縮むわけ だ。すなわち日本国内市場だけを相手にビジネスしている企業なら、売上が5%減る可能性が高い。
ということを見越した上での、キリンとサントリーの経営統合なのだろう。

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14

7月

2009

7月15日の数字:7月13日

それは、一昨日のことである。「この日、日本はパンドラの箱を開けた」といった文章が、20年後ぐらいの歴史家によって書かれるのではないか。
昨日何が起こったのか。Googleが政治に関する問題、不満の受付窓口をネット上に作ったのだ。名付けて、衆院選に向けて政治プロジェクト「未来を選ぼう 2009」である。
「未来のためのQ&A」という質問をユーザーから募集し、投票により関心の高い「5つの質問」を決定する。これに衆議院議員を目指す人が動画で回答し、YouTubeにアップロードする。
これで何が変わるのか。目に見えて、劇的な変化が起こる。なんてことはたぶんないだろう、少なくとも次の選挙では。しかし、水面下、おそらくは深海域での 変化は確実に始まる。いまYouTubeを見ている人の多くはおそらく、これまで政見放送など一度も見たことがないはずだ。政治への関心もまったくなかっ たに違いない。
しかしである。YouTubeに新着として動画がアップされていれば、中には見る人も出てくるだろう。この変化の意味がわかるだろうか。これまでの政治に 対する関心ゼロ姿勢が、いくらかでもプラスに転じるのだ。ものごとは最初の一歩を動かすことが決定的な違いを生む。YouTubeを見た人たちの中には、 もしかしたらこの夏の選挙に投票に行く人が出てくるかもしれない。
これが蟻の一穴である。それでなくとも今回の選挙では日本なりの『Change』が起こる可能性が高い。これが動きに弾みをつける。その先に何が待っているのかは想像できない。しかし、何かが変わっていく予感はある。
今回の総選挙、何より注目すべきは若年層の投票率と支持政党だろう。まさかとは思うが、意外に共産党が善戦したりするのではないだろうか。なんといっても 「蟹工船」がブームになるような時代なのだから。問題はその先だ。各地で若い市長が登場していること、これからもどんどん若い人が市長選に出るという話が あること。もしかしたら、日本も本当に『Chenge』できるかもしれない。

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13

7月

2009

7月14日の数字:日本の10倍

ベンチャー企業に対する一社あたりの平均投資額である。アメリカの2008年度統計によれば、一社あたり7億円を超えているという。翻って日本はどうなのかといえば、その10分の1以下というお話(日本経済新聞2009年7月8日付朝刊13面)。
そもそも日本のベンチャーキャピタルは、銀行系が多い。つまり銀行が投資先の一つとしてベンチャーにも、と考えたわけだ。が、それではベンチャー投資はできない(ですよね)。だってベンチャーに投資するということは、ハイリスク・ハイリターンを狙うってことなんだから。
こうした投資には,それなりの目利きがいるわけです。あるいはハンズオンのベンチャーキャピタルのように、お金を入れて、人(投資先にかけている能力をちゃんと持つ人ですよ)も派遣して、しっかり面倒見るのも選択肢でしょう。
が、こうしたベンチャーキャピタルはいま、すごくしんどい。なぜなら、新規上場してくれるベンチャーが激減しているから。ということは投資を回収できないわけです。だから、新規投資するためのキャッシュが不足している。
という状況を考えたとき、やっぱりアメリカはすごいなあ(というか、ずるいなあ)と思いますね。あれだけの金融危機があったにもかかわらず、まだベン チャーにまわるお金があるんだから。でも、今年はどうなるか。相当、正念場になるような予感もします(あれ、今日の文章、書き出しと最後で文体が変わって しまってる。たぶん昨日から読み返している伊丹十三のエッセイの影響です。ご容赦を!)

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12

7月

2009

7月13日の数字:8秒速く

医療現場でも、トヨタ流「カイゼン」を取り入れる病院がある。仙台厚生病院だ。同病院ではトヨタ自動車とリクルートグループのコラボレーション企業OJTソリューションズのコンサルを受けて「カイゼン」活動に取り組んだ。
その結果「患者を呼んでからカルテを用意するまでの所要時間はこれまでより8秒短い13秒になった(日経産業新聞2009年7月2日付け18面)」とい う。たった8秒とあなどるなかれ。仮に一日、1000人の患者さんがあったとしよう。すると一日あたりで8000秒の時間短縮になる。約2時間13分であ る。これを一年続けると、どうなるか。なんと33日分の時短になる。
あくまでも単純計算ではあるが、この「カイゼン」活動が医師をはじめとするスタッフの負担軽減につながることは想像できる。トヨタ流「カイゼン」の真髄 は、業務プロセスの徹底的な見直しにある。すなわち、単に無駄な工程を見つけてカットすることが目的ではない。無駄な動きはすなわち品質を落とすことにつ ながりやすく、従って「カイゼン」は品質向上活動でもあるのだ。
仙台厚生病院では「8月には1日の検査数を前年同月比20%増、医師の超過勤務時間を半減させることを目指している(前掲紙)」そうだ。たかが8秒、されど8秒である。

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11

7月

2009

7月12日の数字:寿命40倍、価格40倍以下

シャープは、今月15日に予定していた家庭用のLED(発光ダイオード)電球の発売を来月以降に先送りした(京都新聞2009年7月11日朝刊13面)。予想以上の注文が来たために、生産が追いつかないのだという。
LEDは、家庭に「照明革命」をもたらすといわれている。なぜか。まず従来の白熱球に比べると、圧倒的に寿命がのびる。白熱球の寿命がだいたい1000時間なのに対して、LEDなら4万時間。実に40倍にもなる。
しかもLEDは消費電力が少ない。これも白熱球と比べるなら約8分の1しか電気を使わない。極めてエコなのだ。蛍光灯と比べても、使う電力は3割ほど少なく、寿命は3倍以上になる。環境にとてもやさしい電球がLEDというわけだ。
しかし、一つだけ致命的な欠点があった。高いのだ。これまでのLED電球はひとつ1万円ぐらい、となるとそうは簡単には手が出ない。そこでシャープは寿命 が40倍なんだから値段は40倍以下に抑えようとした。今回発売予定のLED電球は4000円以下になる予定。これがヒットした。
まさしくプライシングの魔力、といったところなのだろう。とても興味深い事例だと思う。

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10

7月

2009

7月11日の数字:周波数17.6キロヘルツ

モ スキート音というらしい。「蚊(モスキート)が飛ぶように聞こえることが語源。人間は年齢が高くなると高い周波数が聞こえづらくなり、一般的に20代前半 までの人だけが聞き取れるとされる(日本経済新聞2009年7月6日付け朝刊34面)」。ということは、私には聞き取れない音である。
これが何かというと、深夜の公園に集まって騒ぐ若者を撃退するために使われている。実際にこのモスキート音を聞いた若者は「キーンと耳鳴りがして頭が痛い。5分もいられないよ(前掲紙)」と、その絶大なる効果を語っている。
おもろいですね。実際、モスキート音を使った深夜公園徘徊若者排除策は効果覿面(めっちゃ漢字使ってしまった)。「真夜中にたむろするグループはほとんど いなくなった(前掲紙)」そうだ。ということは、このモスキート音、簡易若者撃退装置としてほかにも使い道があるんじゃないだろうか。
公園に設置された装置は、写真を見る限りかなりがっしりした作りになっているけれど、これに携帯版とか作ればどうなるんだろう。意外に売れるんじゃないだろうか。いや、もしかして、すでにあるかもしれない。と思ったら、やっぱりありました。モスキート音高周波発生装置「キーン太郎」だって。なるほど。でも、これって逆に『武器』だから、たとえば銃刀法とかの取り締まり対象にはならないんだろうか。

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09

7月

2009

7月10日の数字:メモ・日記代わり64%

なぜ、あなたはブログを書くのか? ブロガー1500人に対するアンケート調査の結果、いちばん多かった理由が「自分が忘れないようにメモ・日記代わり」だった(日経産業新聞2009年7月9日6面)。
ちょうど2年ほど前に『なぜ日本人はブログが好きなのか』というエントリーを書いたことがある。当時で世界にはブログが7000万以上あり、そのうちの37%が日本語というデータがあった。世界の言語人口比から考えれば、日本語ブログは突出して多いことになる。なぜか?
日本には古くから日記文学があり、自分の日記をためらわずに公開する伝統があるから、というのがそのとき考えた答。これがあたらずとはいえ、意外に遠からずだったのかもしれない。
ただ同じ日本人でも男女による違いははっきりしているようで、
「自分の意見を世の中に知らせたい」が男性32%に対し女性は18%(前掲紙)
となっているようだ。記事にはなかったが「アフィリエイトで稼ぎたい」というのもあると思うのだけれど、これはどれぐらいなんだろう。

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09

7月

2009

7月9日の数字:初期費用0円

広 瀬電工が始める法人向けの新サービス(日経産業新聞7月6日1面)。情報漏れなどを防げるシンクライアント端末を初期費用ゼロで導入できる。シンクライア ントとは、簡単にいえばハードディスクのないノートパソコンみたいなもの。手元にはデータは一切残らないので、仮に盗まれたとしてもデータ漏洩の心配がな い。
ネット経由でホストサーバーにアクセスして、作業する。データはすべてサーバー上に保存される。次世代企業システムとして期待されながらも、シンクライアント端末が割高になることやシステム整備にコストがかかるため、今ひとつ普及していなかった。
そこで広瀬電工が始めるのは、いわゆる『ゼロックスモデル』だ。つまりコピー機は格安で貸出し、メンテナンスで稼ぐ。その昔にはジレットがカミソリホル ダーを格安で売り出し、替え刃で稼いだ。新しくはケータイ電話と、このモデルは手を替え品を替え使われ続けている。イニシャルコストゼロ円のインパクト は、それだけ大きい。が、買い手としてはランニングまで含めたトータルコストの視点が必要になるのは言うまでもない。

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07

7月

2009

7月8日の数字:国債44兆円

遂に借金が収入を上回ってしまった。これが企業なら、まあ倒産である。仮に家計がこんな状態を何年か続けると、これまた自己破産一直線だろう。
09年度の新規国債発行額は44兆円、これに対して税収は30兆円台に沈むおそれもあるという。一般会計歳出は90兆円前後、だから何とか税収が40兆円あったとしても、50兆円を借金(=国債)に頼らなくてはならない。
ということは当然、長期金利がやがて上がるリスクを考えておく必要がある。それだけじゃない。為替レートがどう振れるのか。普通に考えるなら円は下がるは ずだが、お相手となるドルも相当に危ない状況である。ということはリスクヘッジとして資産はユーロ建てにするとか、意外に「元」などがよかったりするかも しれない。
とりあえず目先の金利や為替の動きも大切だけれど、3年先、5年先、10年先ぐらいの予想はもっておいた方がよい。予想するためには、その手がかりが必要になるはずで、それを考えることが経営にも必ず生きてくる。

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07

7月

2009

7月7日の数字:シェア97%

レ アアースに関しては、中国が97%と世界でも独占的なポジションを確保している。レアアースは高性能磁石を作るのに欠かせない素材だ。ということは、まず 間違いなく今後、電気自動車を生産する上でのキラーマテリアルになる。貴重な素材を中国に握られるリスクを避けるためにトヨタ自動車グループの豊田通商 は、ベトナムでレアアースの鉱山権益を確保した。
ここにはビジネスチャンスがある。例えばナノテクを使って、レアアース代替素材を開発できればどうなるか。あるいは中国以外でレアアースを採掘できる可能 性のあるエリアを見つけることができればどうなるか。あるいは高性能磁石をまったく別の素材、製造法で作ることができればどうなるか。

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